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XAUUSD分析 2026.08.11 · 読了7分

【XAUUSD分析】$4,432まで急伸、雇用統計のマイナス転落が引き寄せた6%高の週【8月10日週】

【XAUUSD分析】$4,432まで急伸、雇用統計のマイナス転落が引き寄せた6%高の週【8月10日週】

金相場(XAUUSD)は、ISM製造業景況指数の予想外の急改善という強気材料が出た週明けにもかかわらず、火曜以降に相次いだJOLTS・ADP・雇用統計という一連の弱い雇用関連指標に押される形で急騰し、週間で約6.4%高という値幅の大きい一週間となりました。金曜には週間高値$4,432.3をつけ、6月につけた戻り高値を明確に上抜けています。

※本記事は金先物(GCUSD)ベースのデータを基に作成しています。

今週の総括

週足ベースでは、始値$4,135.2→終値$4,399.7と大幅な陽線で引けました。週間高値は金曜(8/7)につけた$4,432.3、週間安値は月曜(8/3)の$4,074.0で、値幅は$358.3(始値比約8.67%)。週間の変化幅は+$264.5(+6.40%)と、ここ数ヶ月の中でも際立って大きな上昇となりました。

現在値$4,399.7に対し、50日移動平均線は$4,145.56、200日移動平均線は$4,587.03。50日線は明確に上回っている一方、200日線はまだ上抜けておらず、その差は約$187まで縮まっています。

環境認識(テクニカル)

週足で振り返ると、金相場は年初来高値$5,626.8をピークに急落し、3月の戻り高値$5,049(3/17)→4月$4,918(4/17)→5月$4,783(5/12)→6月$4,238(6/19・6/21のダブルトップ)と、戻り高値を切り下げながら下落してきた経緯があります。ダウ理論的には、この半年間は高値・安値がともに切り下がる下降トレンドが優勢な局面が続いてきました。

しかし今週はこの構造に変化の兆しが出ています。週間高値$4,432.3は6月のダブルトップ($4,238)・先週高値($4,180.2)を明確に上回る「高値の切り上げ」、週間安値$4,074.0も7月の安値ゾーン($3,963~4,000近辺)を上回る「安値の切り上げ」となっており、短期的には下降トレンドの高安構造に反する動きが出てきました。

一方で価格は依然200日移動平均線($4,587.03)を下回り、3~4月の高値圏($4,700~$5,000)からもなお距離があります。半年スケールの下降トレンドが完全に転換したと判断するには時期尚早で、現時点では「下降トレンド内での強い自律反発」と「トレンド転換の初期段階」の両方の見方が併存する局面と考えられます。

今週の値動きレビュー

  • 月曜(8/3):22:45にS&Pグローバル製造業PMI改定値、23:00にISM製造業景況指数(7月)。ISM製造業は55.6%(前月53.3%、2022年5月以来の高水準)と大幅に予想超え、雇用指数も33ヶ月ぶりに拡大圏入りする強さでしたが、米・イラン情勢の緊迫化を背景にした逃避的なドル買いも重なり金は上値重く終値$4,090.5(-1.08%)。
  • 火曜(8/4):23:00発表のJOLTS求人件数(6月)は736万件と市場予想(740万件)・前月改定値(754万件)をいずれも下回り、労働需要の鈍化を示唆。金は買われ終値$4,152.6(+1.05%)。
  • 水曜(8/5):21:15のADP民間雇用者数(7月)は+4.4万人と予想を大きく下回り、23:00のISM非製造業景況指数は54.1%(前月54.0%からわずかに改善も予想には届かず)。ドル指数(DXY)は7週間ぶりの安値圏(99.8割れ)まで下落し、金は一日で+4.15%の大幅高、終値$4,305.2と週内最大の値動きに。
  • 木曜(8/6):21:30の新規失業保険申請件数は19.9万件と3週連続で20万件割れの底堅い結果。前日急騰後の一服となり終値$4,299.6(-0.17%)とほぼ横ばい。
  • 金曜(8/7):21:30の雇用統計(7月)では非農業部門雇用者数が前月比▲2.3万人と、市場予想(+8万人程度)を大きく下回る予想外のマイナスに。失業率は4.1%(前月4.2%)へ低下、平均時給は前年比+3.2%。雇用のマイナス転落を受けて9月利下げ観測が強まり、金は週間高値$4,432.3まで買われ終値$4,399.7(+2.36%)と週内最大の上昇に。

なお今週のドル指数(DXY)は月曜に99.288まで下落した後も戻りが鈍く、水曜以降は7週間ぶりの安値圏(99.6~99.8近辺)で軟調に推移。前週(7/27週)も約3ヶ月ぶりの弱い週間パフォーマンスとなっており、2週連続のドル安基調が金相場の上値余地を広げる一因になったとみられます。

テクニカル分析:重要価格帯

  • レジスタンス $4,432(今週高値):金曜に更新した直近の戻り高値。目先はここを維持できるかが焦点。
  • レジスタンス $4,587(200日移動平均線):ラウンドナンバー$4,600手前にも位置する中期的な上値の節目で、大局的な下降トレンドが継続しているかを見極める上での重要な水準。
  • サポート $4,238(6月19日・21日のダブルトップ):今週上抜けた旧レジスタンスで、押し目局面では新たなサポート(ネックライン)として機能するかが注目される。
  • サポート $4,000(心理的節目):7月に複数回下値を支えたゾーンで、深めの調整が入った場合の防衛ラインとして意識されやすい。

来週の注目材料

来週(8/10~8/14)は月曜こそ主要指標の発表はないものの、水曜以降にCPI・PPI・小売売上高と、インフレ・消費関連の重要指標が連続します。日程はいずれもJST(日本時間)表記です。

日付(JST)時刻(JST)指標
8/10(月)主要指標の発表なし
8/12(水)21:30消費者物価指数(CPI、7月分)
8/13(木)21:30生産者物価指数(PPI、7月分)、新規失業保険申請件数
8/14(金)21:30小売売上高(7月分)
8/14(金)23:00ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値、8月分)

今週のISM製造業・非製造業ではいずれも価格指数が70%超と高止まりしており、インフレ圧力の根強さを示唆する結果でした。来週のCPI・PPIがこの価格圧力を裏付けるように上振れするか、それとも雇用統計に続いて軟化を示すかが、今週急騰した金相場の方向性を占う上での最大の焦点になるとみられます。

来週のシナリオ

シナリオA(BUY) トリガー:CPI・PPIが市場予想を下回り、雇用統計に続いて労働市場・物価面での減速感が強まった場合。あるいは金曜高値$4,432を明確に上抜け、そこを維持する展開になった場合。 根拠:今週すでにJOLTS・ADP・雇用統計と弱い労働指標が連続しており、インフレ指標も軟化すれば9月利下げ観測が一段と強まりやすいため。ドル指数の軟調地合いが続いていることも支援材料。 目標:$4,587(200日移動平均線)~$4,600近辺。 無効化ライン:日足終値で$4,238を明確に割り込んだ場合。 優勢度・確度:中程度でやや優勢(今週の強いモメンタムと2週連続のドル安基調を踏まえて)。

シナリオB(SELL) トリガー:CPI・PPIが市場予想を上回り、ISM価格指数の高止まりが裏付けられる形でインフレ根強さが意識された場合。ドル指数が売られすぎ水準から反発に転じた場合。 根拠:今週の急騰は短期的な過熱感を伴っており、インフレ指標の上振れは利下げ観測を後退させ、戻り売りを誘いやすいため。 目標:$4,238~$4,145(50日移動平均線)。 無効化ライン:日足終値で$4,587(200日移動平均線)を明確に上抜けた場合。 優勢度・確度:中程度(インフレ指標次第で急速に優勢が入れ替わりうる位置づけ)。

まとめ

今週の金相場は、強いISM製造業指数という逆風がありながらも、JOLTS・ADP・雇用統計と続いた雇用関連指標の軟化、そしてドル指数の軟調地合いを背景に、週間で+6.4%という大幅高を記録しました。$4,432という新たな高値をつけたことで、半年スケールで続いてきた戻り高値切り下げの構造に短期的な変化の兆しが出てきた一方、200日移動平均線($4,587)を上回るには至っておらず、大局的なトレンド転換の判断はなお時期尚早な段階です。来週はCPI・PPIというインフレ関連の重要指標を控えており、$4,432~$4,587のレジスタンス帯と$4,238~$4,000のサポート帯を軸に、どちらに振れるかを見極めたいところです。